【解体】『銃・病原菌・鉄』が暴いた、砂漠と支配の「不可避な設計図」

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ドバイの噂を「個人の闇」で片付けていないか?ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』から紐解く、支配と搾取の不可避な地政学的プログラム。SNSが加速させる「現代の家畜化」と、文明が繰り返す蹂躙の歴史。真実を直視する「観察者」のための構造解析レポート。

今、この画面を見つめている君たちに問いたい。 ドバイの闇を、そこに集う成金たちの「異常な人格」や、堕ちていった女性たちの「自己責任」として切り捨て、安全な場所から消費して終わっていないか?

もしそうなら、君の知性はあまりにナイーブだ。 支配と搾取、そして蹂躙。 これらは個人の悪意から生まれるのではない。**「地理」という名の冷徹なプログラムが、数千年の時をかけて自動的に実行している「出力結果」**に過ぎないのだ。

ジャレド・ダイアモンドがその生涯を賭けて提示した『銃・病原菌・鉄』。 この本は、人種や文化という耳あたりの良い幻想をすべて剥ぎ取り、私たちの足元に横たわる剥き出しの「構造」を突きつけてくる。

■ なぜ、彼らは「支配する側」に固定されたのか

この書が暴いたのは、**「環境決定論」**という残酷な真実だ。 かつて、ユーラシア大陸が「横に長かった」という、ただそれだけの物理的な理由が、人類の命運を分けた。

気候の変化が少ない横軸の移動は、農耕と家畜の普及を加速させ、そこから生まれた「余剰生産物」が、働かなくても食える「専門職(軍人、神官、官僚)」を誕生させた。そして、家畜との濃厚な接触が、致死性の「病原菌」という名の、最強の生物兵器を彼らの細胞に組み込んだ。

砂漠という、かつては生存すら危ぶまれた不毛の地が、なぜ今、世界の資本を飲み込み、若きインフルエンサーたちを家畜のように扱えるのか。 それは、彼らが後天的に「悪」に染まったからではない。 地理的条件によって、「銃(軍事力・法執行力)」と「病原菌(他者を駆逐する圧倒的な価値観)」と「鉄(テクノロジー・情報網)」を独占するプロセスを、歴史の必然として踏まされたからだ。

■ 現代のドバイは「歴史の反復」に過ぎない

君たちが噂する「砂漠の儀式」や「尊厳の剥奪」を、現代特有の病理だと思うのはやめろ。 16世紀、スペインの征服者ピサロが、わずか168人の手勢で数万のインカ帝国を壊滅させた時、そこにあったのは現代のドバイと同じ**「圧倒的な情報の非対称性」と「資源の略奪」**だ。

インカの皇帝アタワルパは、文字を持たず、情報の伝達速度で劣り、未知の「病原菌」に怯え、鉄の武器を知らなかった。だからこそ、たった168人の「観察者」に蹂躙された。

現代において、その武器は形を変えている。

  • 銃: 国家予算を上回る「個人資本」と、それを守る「私的軍隊」

  • 病原菌: 他国の倫理観を「古臭い教義」として無効化する「法外な特区(フリーゾーン)」

  • 鉄: 欲望を可視化し、標的を自動的に選別する「SNSという名の監視・捕獲網」

これらを揃えた側が、持たざる者を蹂躙するのは、重力に従って水が低きに流れるのと同じくらい、抗いがたい物理法則なのだ。

■ 「家畜化」のプロトコルは地理が決定する

『銃・病原菌・鉄』の深淵は、家畜化に適した動物の条件を説いた「アンナ・カレーニナの原則」にある。 家畜化できる動物には、特定の条件が必要だ。そしてそれは、人間を「服従」させるプロセスにもそのまま転用されている。

砂漠の地で行われているのは、「野生(自尊心)」を「家畜(所有物)」へと変えるための、生物学的な再定義だ。 漫画や映画で描かれる「堕ちる」描写など、この本が説く「文明が他文明を飲み込む際の力学」に比べれば、あまりに子供騙しに見えるだろう。

■ 観察者としての結論

君たちは今、この「世界の解剖図」に触れている。 『銃・病原菌・鉄』を読了したとき、君は二度とニュースやSNSを「善悪」や「感情」で見ることはできなくなる。 そこにあるのは、「資源の再分配」と「支配の力学」の運動だけだ。

ドバイで跪(ひざまず)く者、そしてそれを高みの見物で笑う君たち。 その立ち位置を決めているのは、君たちの努力でも才能でもない。君たちがどの「座標」に立ち、どの「歴史の延長線上」にいるかという、残酷なまでの環境の差だ。

この本は、君に「希望」などは与えない。 ただ、君が今踏んでいる地面が、どれほど冷徹な格差の上に成り立っているかを、鏡のように映し出すだけだ。


「真実を知ることは、必ずしも救いではない。だが、構造を知らぬまま家畜として屠(ほふ)られるよりは、観察者としてその最期を見届ける方が、いくらかマシだとは思わないか?」

[▶ 支配の構造を、細胞レベルで理解する(『銃・病原菌・鉄』上・下巻へ)]

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